それは2009年の秋の出来事でした。
「抱夏弾秋」
今夏、私は人が出す稀に見る強い熱にあてられました。
感化され、脈打つその熱は、行き場なく内でくすぶるばかり。
秋を迎え、この作品の発案、視点変えと共に育てた熱、心。
情熱として惜しみなくここに出し切りました。
熱は伝わるものです。
おこがましくも、私が貰った熱は、熱でお返しします。
ここに何かを感じてくれることを願って。
河田 崇
と、作品展示の様子をブログで綴ってから2週間ほど経ったある日。
フジテレビの制作美術さんからテレビドラマに使いたいとオファーをいただく。
その頃はテレビを観ていなかったので、ドラマの存在を知らず。
セットの世界観が描かれた絵と共に、美術さんの情熱に押されるかたちで承諾した。
撮影は唐突。しかも急遽。
美術さん自ら工房へ搬出に来てくれ、湾岸スタジオへ搬入する。
既に深夜、、ドラマセットの中へ運び入れ、設営すると日付が変わっていた。
奇しくも私の36回目の誕生日。
終えたの朝方4時頃だったかな?一旦宿へ寝に行くも束の間、早朝に撮影の様子を伺いに。
俳優の方達がセット前に一列に並んで出番待ちをしてる光景がちょっと異様で、とても印象に残っています。
画面の向こうでは、艶めかしいくらいにテラテラと輝いてました。
最終話と、その前の回と
2週に渡って本当に楽しめたな~~~
ライアーゲームというドラマのシーズン2でした。
正月を挟むかたちでの放映はドラマにしては珍しいと思うのですが、放映直後に映画が待っていたのですね。
その映画への伏線的な造形もしてるということでのオファーでしたが、
よもやドラマ世界観、ドラマセット高、見事ドンピシャの造形は自分が一番驚いています。
だってですよ?
2009年のその秋は、個展を考えていて春から準備に入ろうとしていたんです。
ところがいつになっても仕事がきれず、作品を作ってる時間が全くなくなってしまっていくのです。
焦燥が募るばかりでね。
冒頭でも触れましたが、この作品の発案、視点変えなくして成り立たなかったのです。
個展に考えていた数点の作品アイデアをひとつに集約して、ない時間で精一杯ひとつの作品を作ろう。
なんだか全てがそこだった気がします。
天は見ていてくださるのですね。
腕試しとばかり、その時の自分の度量を知るため、もしくは自信を付けたかったのかもしれない。
2か月も仕事を休み、何があるでなくただ展示に間に合わせ作り上げた過程。
美術さん、監督、これも奇遇な同い年の二方が作り出す世界との共演が、
あれほどに想い報われたことは人生で初めてでした。
ロートアイアンフロアオブジェ
「抱夏弾秋-ほうかだんしゅう-」
夏の情熱を抱いた、秋を連想させる作品です。
鍛鉄・ガラス・FRP製、蜜蝋仕上げ
H:2850 W:1650 D:1350
20w球11箇所 10w球4箇所 総電力260w
熱い、熱い作品です。
ロビーやエントランスホールにいかがですか。
ご縁ある方にお譲り致します。